4年間、介護職員として老人ホームで働く中で2つの施設を経験した。
いずれも自己都合による退職で、退職を決めた時に頭の中にあったのは、「とりあえず施設や職員に迷惑がかからないように辞められたらいいや」という考えだ。
だが、就業規則に従って事前に退職の意向を伝えた時、周囲の温かさに心を打たれて自分の考えを改めようと思った出来事があった。
今回はそこで与えられた温かさを受け継ぎ、次の仕事では自分が温かさを与えられるようにその時の出来事について書いていこうと思う。
退職を伝えた時の周囲の温かさに感動させられた
どちらの施設も人手不足に悩んでいたためか、退職までに何度か面談をセッティングされて引き止められることもあった。
やむを得ない事情での退職だったが、ご利用者や職員との関係性には何の問題もなく、むしろ温かい人に囲まれていたため辞めることが惜しいという気持ちもあったように思う。
そんな気持ちもあって「できることなら学んだことを活かして何か返したかった」と面談で口にしたことがある。
すると面談をしてくれていた施設長が「その気持だけで十分。ここで学んだことを他で活かしてあげてください。君は優しいからどこへ行っても大丈夫ですよ」と言ってくれたのだ。
普段は現場に入ることが少なく関わることも多くなかった施設長だったが、陰ながら私のことを見てくれていたんだと思った。
施設長だけでなく、一緒に働いていた職員にも退職の意向を伝えると労いと応援の言葉をかけてくれる人ばかり。
普段はピリついた雰囲気でどこか近づきがたかった先輩職員でさえ、笑顔で応援をしてくれたことが特に印象的だった。
どちらかと言えば業務以外で職員間のコミュニケーションを意識してこなかったが、皆が陰ながら応援してくれていたことに思わず泣きそうになってしまったことを覚えている。
働きながら「どう評価されているのか?」「自分の働きなんて誰も見ていない」と思うこともあったが、数字やマニュアルに則った評価ではない温かな評価がそこにはあった。
周囲の温かさに比べると自分は何も恩返しをしないまま退職することになってしまったことは悔やまれるが、「学んだことを他で活かしてあげて」という言葉を忘れずに新しい職場で恩返しの輪を広げていきたい。
